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屋根の漆喰剥がれを発見したら?適切な対処法と注意点

屋根を見上げると、白い漆喰が剥がれている…そんな光景を発見した時、不安を感じるのは当然です。
小さな剥がれでも、放置すると大きな問題につながる可能性があります。
今回は、屋根の漆喰剥がれの原因から、適切な対処法、そして業者選びのポイントまで、分かりやすくご紹介します。

屋根漆喰剥がれの原因

経年劣化による剥がれ

屋根の漆喰は、自然素材である石灰、消石灰、砂、水などを混ぜて作られています。
これらの材料の配合比率や、使用する水の量、練り具合によって、漆喰の耐久性が大きく変わってきます。
そのため、紫外線や雨風、寒暖差などの影響を受けやすく、経年劣化は避けられません。
一般的に20~30年で劣化が始まり、ひび割れや剥がれ、粉化といった症状が現れます。
劣化のスピードは、住宅の立地条件(例えば、海沿いの塩害を受けやすい地域、湿気の多い山間部、日当たりが強い南向きの屋根など)や屋根の構造(勾配、屋根材の種類、棟の形状など)、施工時の品質にも大きく左右されます。
例えば、勾配の急な屋根は雨水の滞留が少ないため、比較的劣化が遅い傾向があります。
一方、勾配の緩やかな屋根では、雨水が滞留しやすく、劣化が早まる可能性があります。
特に、湿気の多い場所や日当たりの強い場所では、少なくとも5年に一度は、専門業者による点検が重要です。
また、漆喰の種類によっても耐久性が異なります。
例えば、消石灰を多く含む漆喰は、耐久性が高いと言われています。

自然災害による剥がれ

地震や台風などの自然災害は、屋根に大きなダメージを与えます。
地震の揺れで瓦がズレ、漆喰が剥がれることはもちろん、瓦自体が破損することもあります。
特に、古い瓦や劣化が進んだ瓦は、地震による衝撃に弱く、漆喰の剥がれだけでなく、瓦の落下事故のリスクも高まります。
また、台風などの強風は、漆喰を吹き飛ばしたり、瓦を破損させたりするだけでなく、飛来物による損傷も引き起こす可能性があります。
例えば、強風で飛ばされた物が屋根に衝突し、漆喰が剥がれるケースも考えられます。
自然災害後は、屋根の状態を注意深く確認し、特に棟部分や軒先など、風雨にさらされやすい箇所は念入りに確認する必要があります。
必要に応じて、ドローンなどを活用した屋根の空撮調査を行い、被害状況を把握することも有効です。
専門業者に点検を依頼する際には、写真や動画を添付することで、より正確な診断を受けることができます。

施工不良による剥がれ

当初からの施工不良も、漆喰剥がれの原因となります。
漆喰の配合が適切でなかったり、施工方法が不適切だったり、下地処理が不十分だったりすると、早期に劣化が進み、剥がれやすくなります。
例えば、漆喰の乾燥が不十分なまま施工された場合、ひび割れや剥がれの原因となります。
また、下地となる瓦や葺き土の状態が悪い場合も、漆喰の剥がれにつながります。
適切な下地処理を行うことで、漆喰の耐久性を高めることができます。
さらに、経験の浅い職人による施工や、適切な工具を使用しない施工も、施工不良につながる可能性があります。

漆喰剥がれの危険性とリスク

雨漏りのリスク

漆喰は、瓦と瓦の隙間を埋め、雨水の浸入を防ぐ役割があります。
漆喰が剥がれると、雨水が屋根内部に侵入しやすくなり、雨漏りのリスクが高まります。
雨漏りは、建物の腐食やカビ・ダニの発生、シロアリ被害につながるため、放置しないことが非常に重要です。
雨漏りは、天井や壁にシミが発生したり、壁紙が剥がれたりするだけでなく、建物の構造材を腐食させ、建物の寿命を縮める原因となります。
また、雨漏りによる健康被害も懸念されます。
カビやダニはアレルギーや喘息の原因となる可能性があり、特に小さなお子さんや高齢者のいる家庭では、深刻な問題となる可能性があります。

瓦のズレや破損

漆喰は、葺き土(瓦の下に敷かれた土)を保護する役割も担っています。
漆喰が剥がれると、葺き土が雨風で流出し、瓦の固定力が弱まります。
その結果、瓦がズレたり、破損したりするだけでなく、最悪の場合、瓦が落下して人身事故につながる可能性もあります。
特に、古い瓦や劣化が進んだ瓦は、漆喰の剥がれによってさらに不安定になり、落下リスクが高まります。

葺き土の流出

葺き土は、瓦を支える重要な役割を果たしています。
葺き土が流出すると、瓦の固定が不安定になり、ズレや破損、最悪の場合には落下につながる可能性があります。
また、葺き土の流出は、屋根の断熱性や防水性を低下させる原因にもなり、冬場の暖房効率の低下や夏場の暑さ対策に悪影響を及ぼします。
さらに、葺き土の流出によって、屋根裏への雨水の浸入リスクも高まります。

屋根漆喰剥がれの適切な対処法

部分的な補修方法

漆喰の剥がれが部分的な場合は、部分補修で対応できます。
例えば、剥がれた面積が数カ所、合計で手のひらサイズ程度であれば、部分補修が可能です。
剥がれた部分をワイヤーブラシなどできれいにした後、専用の漆喰を塗り重ねます。
使用する漆喰は、既存の漆喰と色調を合わせる必要があります。
ホームセンターなどで販売されている補修用の漆喰を使用することもできますが、専門業者に依頼した方が、より綺麗に仕上がります。
比較的安価で済むため、初期の段階での対応がおすすめです。
ただし、ひび割れや剥がれが複数箇所にある場合、または剥がれの面積が広い場合は、部分補修だけでは根本的な解決にはならず、他の対処法を検討する必要があります。

漆喰の詰め直し

剥がれが広い範囲に及んでいる場合や、ひび割れが多数見られる場合は、漆喰の詰め直しが必要になります。
古い漆喰を完全に除去し、新しい漆喰を詰め直すことで、屋根の防水性を回復させます。
この作業には、高圧洗浄機を使用したり、専用の道具を用いたりする必要がある場合もあります。
部分補修よりも費用は高くなりますが、より確実な補修方法です。
作業には、専門的な知識と技術が必要となるため、業者に依頼することをお勧めします。

棟瓦の取り直し

漆喰の剥がれがひどい場合や、棟瓦自体がズレている、破損している場合は、棟瓦の取り直しが必要となることがあります。
これは大掛かりな工事で、足場が必要になる場合も多く、費用も高額になりますが、屋根の耐久性を高めるためには有効な方法です。
棟瓦の取り直しは、専門業者に依頼することが不可欠です。
瓦のズレや破損が確認された場合、棟瓦の取り直しは安全確保の観点からも必須です。
作業前に、近隣住民への配慮も必要となります。

まとめ

屋根の漆喰剥がれは、放置すると雨漏りや瓦のズレ、葺き土の流出など、様々なリスクを伴います。
早期発見と適切な対処が重要です。
剥がれの程度や範囲によって、部分補修、漆喰の詰め直し、棟瓦の取り直しなど、様々な補修方法があります。
専門業者に点検・見積もりを依頼し、最適な方法を選択しましょう。
業者選びの際には、見積もりを依頼し、料金や施工内容、保証期間、使用する材料、職人の経験などを比較検討することが大切です。
また、訪問販売業者には十分注意し、安易に契約しないようにしましょう。
契約前に、書面で詳細な内容を確認し、不明な点はしっかり質問することが重要です。
定期的な点検も忘れずに行い、専門業者による定期点検契約を検討するのも有効です。
屋根の寿命を長く保つためには、適切なメンテナンスが不可欠です。