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屋根の板金塗装が必要な理由について解説

自宅の屋根、普段あまり意識することは少ないかもしれませんが、そこには家全体を雨風や紫外線から守るための様々な工夫が凝らされています。
特に、金属で構成される「板金」部分は、屋根材の継ぎ目や頂上、谷間といった雨仕舞の要となり、見えないところで重要な役割を果たしています。
しかし、この板金も年月の経過とともに劣化し、思わぬトラブルの原因となることがあります。
今回は、屋根の板金が持つ本来の機能から、その劣化サイン、そして起こりうる被害について詳しく解説し、ご自宅の屋根への理解を深める一助といたします。

屋根の板金とその役割

屋根の板金とは

屋根の板金とは、主に亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板、ステンレスなどの金属板を加工して作られた部材の総称であり、屋根の形状に合わせて複雑な加工が施され、屋根材の端部や接合部、雨水の通り道など、雨仕舞(あまじまい)を確実に行うために戦略的に配置されています。
具体的には、屋根の頂上部分である「棟」、屋根と屋根がぶつかる「谷」の部分、軒先やケラバ(屋根の側面)、煙突周りや換気装置の貫通部など、雨水が浸入しやすい箇所を覆い、屋根材を固定する役割も担っています。
これらの板金は、屋根材単体では防ぎきれない雨水の侵入経路を塞ぎ、屋根全体の防水性能を高めるために不可欠な存在です。

雨水を防ぐ板金の役割

板金が果たす最も基本的な、そして最も重要な役割は、屋根への雨水の浸入を確実に防ぐことです。
屋根材は雨粒が直接当たる部分ですが、屋根材同士の隙間や、構造上の接合部からは、風雨によって雨水が入り込みやすくなります。
そこで、棟板金は屋根の頂上を覆い、雨水が内部に浸入するのを防ぎながら、勾配に沿ってスムーズに排水する水切りとしての機能を発揮します。
また、谷板金は、二つの屋根面が作り出す「谷」の部分に設置され、集まってきた大量の雨水を効率的に受け止め、建物の外へと安全に導くための水路の役割を担います。
これらの板金が適切に機能することで、屋根材の下にある防水シートや野地板、さらには建物内部の構造材までが水に濡れることを防ぎ、建物の耐久性を長期にわたり維持することが可能になります。

棟板金・谷板金の種類

屋根の板金には、その設置場所や機能に応じて様々な種類がありますが、特に「棟板金」と「谷板金」は雨仕舞において中心的な役割を担います。
棟板金は、屋根の頂点部分を覆うもので、中央に水切りを設けることで雨水の流れを制御し、屋根材の接合部から内部への浸入を防ぐ構造になっています。
一方、谷板金は、屋根の谷部分に設置され、屋根面を流れてきた雨水を効果的に集めて排水する役割を担うため、樋(とい)のような水路のような形状をしています。
近年では、錆びにくく耐久性の高いガルバリウム鋼板やステンレス鋼板が用いられるケースもあります。
素材や形状の違いは、それぞれの設置場所における雨水の処理能力や、耐久性に影響を与えます。

屋根の板金劣化症状とその注意点

棟板金の釘抜け・浮きの原因

棟板金において、固定している釘が抜けたり、板金自体が浮き上がったりする現象は、いくつかの要因が複合的に作用して発生します。
まず、板金は温度変化によって膨張と収縮を繰り返すため、長年の間に金属疲労が生じ、釘穴が緩んでしまうことがあります。
また、棟板金の下地となっている木材(貫板)が、雨水や湿気によって腐食したり、経年劣化で痩せたりすると、釘をしっかりと保持できなくなり、浮きや抜けの原因となります。
さらに、台風などの強風に煽られることで、板金や釘に大きな力が加わり、固定が不十分な箇所から物理的に浮き上がってしまうこともあります。
これらの原因が複合的に作用することで、棟板金は不安定になり、本来の防水機能を失うリスクが高まります。

板金のサビ・腐食の原因

屋根の板金がサビたり腐食したりする主な原因は、金属表面の保護層である塗装が剥がれたり、傷ついたりして、下地の金属が直接、雨水や空気中の酸素、湿気などに触れる機会が増えることにあります。
一度サビが発生し始めると、その進行は比較的速く、金属を内部から侵食していきます。
特に、海岸部では塩害の影響を受けやすく、内陸部でも酸性雨などが金属の酸化を促進する場合があります。
また、屋根の谷部分などに落ち葉やゴミが堆積すると、それらが水分を保持し、板金が常に湿った状態が続くため、サビや腐食を招きやすくなります。
金属の種類によっては、これらの環境要因に対して固有の耐性がありますが、いずれの素材も長期間の風雨や紫外線に晒されることで、徐々に劣化が進んでいくことは避けられません。

まとめ

屋根の板金は、雨水の浸入を防ぎ、家屋全体の耐久性や安全性を維持するために極めて重要な役割を担っています。
棟板金の釘抜けや浮き、板金のサビや腐食といった劣化症状は、見過ごしてしまうと雨漏りや構造材の劣化といった深刻な被害に繋がる可能性があります。
定期的な点検でこれらのサインを早期に発見し、必要に応じて塗装による保護や部分的な修理、あるいは交換といった適切なメンテナンスを行うことが、長期的な住まいの安全と資産価値の維持には不可欠です。
信頼できる専門業者に相談して、早めの対策を講じましょう。